達而録

中国学を志す学生達の備忘録。毎週火曜日更新。

日本

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』を読んで(1)

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みました。在日本韓国YMCAは、日本・韓国・在日朝鮮人を架橋する運動体であり、2006年からはパレスチナとの交流事業を継続してきました。 現在、イスラエルによるパ…

斯道文庫発祥の地はどこ?

いま慶應義塾大学に付設されている「斯道文庫」は、貴重な和漢籍を数多く蔵する、日本で屈指の専門図書館の一つです。 斯道文庫のホームページの説明を借りて、その由来を記しておきます。 慶應義塾大学附属研究所斯道文庫は、株式会社麻生商店(現・麻生グ…

「長嘯」とは?―中島敦『山月記』の漢詩の意味

今回は、齋藤希史『漢文スタイル』(羽鳥書店、2010)の第七章「花に嘯く」に導かれながら、「長嘯」という言葉と中島敦『山月記』の漢詩について考えてみます。 前回、「嘯」と「長嘯」の意味について、斎藤本と青木正兒「「嘯」の歴史と意義の変遷」(『中…

「嘯」について―齋藤希史『漢文スタイル』より

今回と次回は、齋藤希史『漢文スタイル』(羽鳥書店、2010)の第七章「花に嘯く」に導かれながら、「嘯」そして「長嘯」という言葉について考えてみます。以下は、斎藤氏の本のp.220~225の要約になっています。 まず、本章のタイトルになっている「花に嘯く…

溝口雄三『方法としての中国』の読書案内

溝口雄三『方法としての中国』(東京大学出版会、1989)を読みました。非常に興味深い内容で、一般の方にも分かりやすく読めるものですので、少し紹介します。ちなみに、溝口氏の『中国の公と私』については、以前記事を書いたことがありますので、合わせて…

地元の儒者を尋ねて―「亀井南冥」篇・おまけ

中哲ブログということで、前回までの記事の中に出てきた「典拠のある言葉」を、少し振り返ってみましょう。第1回はこちら。第2回はこちら。 まず、修猷館の「修猷」という言葉。これは『尚書』 微子之命の一節を踏まえる言葉です。修猷館高校の公式サイトに…

地元の儒者を尋ねて―「亀井南冥」篇・下

前回の続き。同じ部分図を掲げておきます。全体は→[福岡城下町・博多・近隣古図] - 九大コレクション | 九州大学附属図書館 今回は地図の下側に見える「今川橋(旧今川橋)」が出発地点。 今では「裏通り」と呼ばれ、写真でも完全な裏道に見えるこの道、実…

地元の儒者を尋ねて―「亀井南冥」篇・上

つい先日、研究室に届いた雑誌『斯文』134号を見ていたところ、牧角悦子氏の「鎮西の儒侠・亀井南冥の為人と学問」(オンライン公開なし)という文章に出くわして、大変驚きました。 というのも、中の人の一人の実家近くに亀井南冥のお墓があり、幼いころか…