先日、おすすめの文章の紹介で高島さんのcodocの記事を書きましたが(高島さんのcodocの記事がめっちゃ好き - 達而録)、もう一つ、本屋lighthouseさんが配信されているメルマガを紹介します。
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さて、特に心に残った記事として、本記事執筆時点で最新の記事である「世界とはぐれて #7/銀の森」を挙げておきます。
この回では、筆者と、筆者が男らしさの呪縛を考える時に思い出す「深原」という人の関わりについて語られています。深原は、人前では、いわゆるトキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)を、道化的な振る舞いや、良き「後輩」ポジションで発揮する人ですが、筆者の前では、変に取り繕わず、本心をあっさり語るようなところがあります。
筆者の深原評として、以下の部分を引用しておきます。
「男らしさ」をどこか面倒くさがっているくせに、ホモソーシャルなつながりにいられることをある面では楽しみ、ずっとそうやって輪の中心に居続けてきたのだと思う。
でもそんな深原も我に帰る瞬間があるのか、自分の行動を誰かに否定してもらいたがるときがあった。その「誰か」がわたしだった。だからだろうか、話を聞いたわたしが「またそんなことやってるの?」とドン引きしたように言うと、深原は安心した表情になった。
(引用元:世界とはぐれて #7/銀の森、2025/3/4閲覧)
この文章を読んで、色々なことを考えました。まず考えたのは、①私もたくさんの深原的人間に会ってきたということ、②私も深原的な側面を持っているということです。
最初、①について長々と文章を書いていたのですが、書き上がってみると果たしてこれが「深原」なのかよく分からなくなったので、このことはまたどこかで書くことにして、今回は②について書きます。
私はみんなの前で道化になるタイプではないし、深原のような振る舞いにはノリが合わないことが多かったです。かといって、その嫌悪を態度に出したり、直接批判するようなことも長らくしてこなかったし、今なら言える関係性なら言いますが、徹底できないこともあります。行動に移さない以上、周りから見れば、同調しているのと変わらないです。むろん、常に原則的行動を取るなんてことは誰しも無理ですが、やっぱり自分に対しては、取れた行動を全然取ってこなかったと思います。
ここまでは似た経験を持つ人は多いと思うのですが、私が自分に深原的な要素を感じるのはこの先のところです。私は、人前ではそういう態度なのに、誰かと個々で語り合う時には一転して「本心」を打ち明けて、ギャップを利用する節があった、と感じました。簡単に言えば、「あれ、この人意外と話通じる」というポジションにつきやすいことを利用して、人の信頼を得てきたのではないか、と思います。で、そういうポジションにつきやすいのは、私の見た目が勝手にハードルを下げてもらえる特権を持っているからに他なりません。まずこの文章を読んで、そういう自分がいる、ということを自覚しました。
信頼を得るための打算があるとはいえ、(おそらく深原が感じているように、)その個々の語り合い自体によって得られるもの(共感や安心感、情報、そして何かしらのケア)があり、それを私自身が強烈に求めていることは確かです。また、私とのこうした会話で、相手が打算的だと感じているのか、相手も安心感を感じているのか、その実際のところは分かりません。
考えてみると、結局「打算的であるかどうか」が重要というよりも*1、そういう語り合いの場を(その気になれば容易に)持てて、その時に自分の言葉に耳を傾けてもらえて、それが信頼を得る状況につながるという、でかすぎる特権を自覚できるかどうか、そしてその特権をどう分配するか(たとえば、そうした語り合いの場ならば、自分が話すばかりではなく、相手の話をきちんと聞いて、寄り添っていますか?と常に自省するとか)、というところに話は戻っていくのかと思いました。
……などと、つらつらと思ったことを書いていたら、結局本文から離れてしまいましたが、とにかく身につまされる文章でした。自分が何を書くべきかというところから整理し直したいと思います。
(棋客)
*1:むろん、たとえば私が権力勾配を利用して、打算のもとに相手を呼び出すとか、そういうことをしていたら論外で、別問題にはできませんが。