達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

しびれるような世界を求めて~岡田索雲『ある人』

前回の記事で少し触れた「ある人 / ある人 - 岡田索雲 | webアクション」を、何度も読み返して繰り返し感銘を受けている。多くの人に知って欲しい漫画家だと思ったので、詳しく感想を書いていく。 最初にこの作品の前半を読んだ段階では、「突然誰かとぶつか…

くたばるのは、忌々しい社会や歴史を書き換えてからでも遅くはない~吉野靫『誰かの理想を生きられはしない』

今回は、吉野靫『誰かの理想を生きられはしない―とり残された者のためのトランスジェンダー史―』(青土社、2020)について書いていく*1。この本の感想はいつかきちんと書きたいと思っていて、メモを取り始めたのはだいぶ前なのだが、完成までだいぶ時間がか…

Visual Studio Codeでの旧字体・新字体変換

Visual Studio Codeを使って論文を書くに当たって、私の分野の場合には、「旧字体⇔新字体」の変換ができると非常に有難い。pythonで開発された「kyujipy」をVS codeに組み込むことで、これを実現することができる。 kyujipy · PyPI pythonとkyujipyをセット…

Visual Studio Codeで文系論文を書きたい

最近、Visual Studio Codeを導入し、Markdown形式で論文を書き始めた。Git/GitHubと連携させているので、加筆した際の差分(Diff)を系統的に確認できることと、簡単にクラウド上にバックアップできるのが便利だ。 導入時点で大きく不満だったのが、デフォル…

『エトセトラ』vol.10 男性学特集号の感想(2)~仲芦達矢「ノイジー・マスキュリティ」

前回の続き。フェミマガジン『エトセトラ』の「特集:男性学」号(vol.10)を読んでの感想を記す。今回は、特に仲芦達矢「ノイジー・マスキュリティ」を取り上げる。 前回、『エトセトラ』の「特集:男性学」号の全体について説明した。前回示した通り、全体…

『エトセトラ』vol.10 男性学特集号の感想(1)

遅れ馳せながら、フェミマガジン『エトセトラ』の「特集:男性学」号(vol.10)を読んだ。同誌はこれまでに「特集:くぐりぬけて見つけた場所」(vol.7)を読んだことがあって、とても面白かったのを覚えている。 今号も、掲載されている論考はどれもとても…

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』を読んで(3)

前回に引き続き、『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みます。今回は、第4章「パレスチナと性/生の政治」(保井啓志)の内容をメモしておきます。イスラエルによる、いわゆる「ピンクウォッシング」…

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』を読んで(2)

前回に引き続き、『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みます。今回は、第7章「ジェンタイル・シオニズムとパレスチナ解放神学」(役重善洋)の内容をメモしておきます。この章は、イスラエルによるパ…

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』を読んで(1)

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みました。在日本韓国YMCAは、日本・韓国・在日朝鮮人を架橋する運動体であり、2006年からはパレスチナとの交流事業を継続してきました。 現在、イスラエルによるパ…