達而録

中国学を志す学生達の備忘録。毎週火曜日更新。

Visual Studio Codeでの旧字体・新字体変換

Visual Studio Codeを使って論文を書くに当たって、私の分野の場合には、「旧字体⇔新字体」の変換ができると非常に有難い。pythonで開発された「kyujipy」をVS codeに組み込むことで、これを実現することができる。 kyujipy · PyPI pythonとkyujipyをセット…

Visual Studio Codeで文系論文を書きたい

最近、Visual Studio Codeを導入し、Markdown形式で論文を書き始めた。Git/GitHubと連携させているので、加筆した際の差分(Diff)を系統的に確認できることと、簡単にクラウド上にバックアップできるのが便利だ。 導入時点で大きく不満だったのが、デフォル…

『エトセトラ』vol.10 男性学特集号の感想(2)~仲芦達矢「ノイジー・マスキュリティ」

前回の続き。フェミマガジン『エトセトラ』の「特集:男性学」号(vol.10)を読んでの感想を記す。今回は、特に仲芦達矢「ノイジー・マスキュリティ」を取り上げる。 前回、『エトセトラ』の「特集:男性学」号の全体について説明した。前回示した通り、全体…

『エトセトラ』vol.10 男性学特集号の感想(1)

遅れ馳せながら、フェミマガジン『エトセトラ』の「特集:男性学」号(vol.10)を読んだ。同誌はこれまでに「特集:くぐりぬけて見つけた場所」(vol.7)を読んだことがあって、とても面白かったのを覚えている。 今号も、掲載されている論考はどれもとても…

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』を読んで(3)

前回に引き続き、『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みます。今回は、第4章「パレスチナと性/生の政治」(保井啓志)の内容をメモしておきます。イスラエルによる、いわゆる「ピンクウォッシング」…

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』を読んで(2)

前回に引き続き、『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みます。今回は、第7章「ジェンタイル・シオニズムとパレスチナ解放神学」(役重善洋)の内容をメモしておきます。この章は、イスラエルによるパ…

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』を読んで(1)

『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みました。在日本韓国YMCAは、日本・韓国・在日朝鮮人を架橋する運動体であり、2006年からはパレスチナとの交流事業を継続してきました。 現在、イスラエルによるパ…

パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集

パンセクシュアルを名乗ること:前提 パンセクシュアルを名乗ること:過去 パンセクシュアルを名乗ること:未来 パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集(今回) さて、昨日まで連続で更新してきた記事も、最初はいつもの記事のように、他人の文章を…

パンセクシュアルを名乗ること:未来

パンセクシュアルを名乗ること:前提 パンセクシュアルを名乗ること:過去 パンセクシュアルを名乗ること:未来(今回) パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集 昨日の続き。自分がパンセクシュアルと名乗ることについて、もう一つ書ききれていない…

パンセクシュアルを名乗ること:過去

パンセクシュアルを名乗ること:前提 パンセクシュアルを名乗ること:過去(今回) パンセクシュアルを名乗ること:未来 パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集 昨日の記事で、自分がパンセクシュアルであると名乗ることについて、その前提や意味を…

パンセクシュアルを名乗ること:前提

(今回)パンセクシュアルを名乗ること:前提 パンセクシュアルを名乗ること:過去 パンセクシュアルを名乗ること:未来 パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集 今回からしばらくの間、自分のアイデンティティについて言語化するための記事を書いて…

藤高和輝「パスの現象学―トランスジェンダーと「眼差し」の問題」

今回は、藤高和輝「パスの現象学―トランスジェンダーと「眼差し」の問題」(『フェミニスト現象学』ナカニシヤ出版、2023)を取り上げます。「現象学」が冠される本を読むのは初めてでしたが、専門知識が無くても読めるように工夫されていて、私にも分かりや…

吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟のゆくえ

一か月ほどブログをお休みしている間に、色々と動きがありましたので、共有しておきます。吉田寮のことについては、これまで本ブログでもたびたび言及してきました→吉田寮 カテゴリーの記事一覧 - 達而録 以下、資料を列挙する形式で書いていきます。 2019年…

多忙につき…

心身ともに余裕がなく、しばらくブログを更新できなさそうです。 のんびりお待ちください。 もしかしたら、少し形態を変えて、考えたことをつらつらと書き綴るタイプのブログとして再出発するかもしれません。 ではまた。 (棋客)

「川上の嘆」について―蜂屋邦夫『中国の水の思想』から

以前、『論語』の有名な一節「子在川上、曰、逝者如斯夫、不舍晝夜」(子川上に在り、曰く、逝く者は斯くの如きか、昼夜を舎かず)の解釈について、このブログでまとめたことがあります。 『論語』の「川上の嘆」の二つの解釈 - 達而録 要約すると、「川上の…

中国学関係の「リサーチ・ナビ」

小林昌樹『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』を読んで、国立国会図書館が「リサーチ・ナビ」という調べ方案内のページを作っていることを知りました。各分野の調べごとについて、最初の一歩の調べ方をまとめた便利なページです。 ざっく…

Diffの記事を書きました

Diffの記事を書いたのでお知らせしておきます。 diff.wikimedia.org Diffとは、Wikimedia(Wikipediaを含む)に関連する記事を掲載するメディアです。 私はWikipediaの編集に継続的に取り組んでおり、Wikipedia関係の記事はDiffにアップしていこうと思います…

光本順「クィア考古学の可能性」

光本順「クィア考古学の可能性」(『論叢クィア』第2号、2009)を読みました。一つの学問の指針を知ることができるよい論文でした。簡単にまとめておきます。 「クィア考古学」とは耳慣れない言葉かもしれませんが、第三波フェミニズムを受けてフェミニスト…

2024年になりました

いつの間にやら「2024年」になりました。びっくりです。 去年の記事を見返していましたが、中国古典関連の記事はなんと半分以下で、自分の興味関心の移り変わりを見ることができて面白いですね。テーマを限定してブログを続けるのは私には難しそうですので、…

Wikipedia執筆録(4)

ものすごく久々にWikipediaを色々更新しました。知り合いのWikipedianたちにマレーシア関連の記事の執筆をする交流会に誘ってもらったのがきっかけです。 セクシュアリティ・ムルデカ英語版を翻訳して、日本語文献から色々補強しました。これが再開のきっか…

国立大学法人法改正案について

先週、参院本会議にて、国立大学法人法の改正案が可決されました。大雑把な経緯や改正案の内容については、この改正案に対する反対署名を集めているサイトに詳しいです。→オンライン署名 · 大学の自治に死刑を宣告する国立大学法人法「改正」案の廃案を求め…

文フリで買った本④―『夕炎の人』

文フリで買った本を紹介するシリーズの続きです。今回は、星槎渡河さんの『夕炎の人』という小説を取り上げます。Twitter経由で昔から知り合いだった方の本ということで、とても楽しみにしていました。 領主の屋敷の庭師であるセッケムは、最近あることに悩…

文フリで買った本③―『MagazineF』と『From the Hell Magazine』

文フリで買った本の感想を書く記事の続きです。今回は、「四面楚歌系クィアメディア」を名乗る『MagazineF』vol.1, 2(竹輪書房)と、文乃(Ayano)さんの『From the Hell Magazine』vol.1, 2から。 なお、二つの文章は、全く同じ話をしているというわけでは…

文フリで買った本②―『砂時計』第五号

前回、文フリで買った文芸同人 北十さんの『砂時計』第四号の感想を書きました。今回は第五号の感想です。 まず取り上げたいのは、桐崎鶉さんの短歌集『感性の問題』です。桐崎さんの短歌には、自分も身につまされる作品がいくつもありました。千葉優作さん…

文フリで買った本①―『砂時計』第四号

文フリで買ってきた『砂時計』第四号を読んだので、感想を書いていきます。発行者は「北十 | 文芸同人 北十 | Hokkaido」さんです。 冒頭にあるのが『片袖の魚』の監督の東海林毅さんと、「北十」の音無早矢さんの対談記事です。『片袖の魚』は、以前関西ク…

文学フリマ@東京に行ってきました

文学フリマ@東京に行ってきました。 bunfree.net 下が獲得したものです。 FromTheHellMagazine 文芸同人「北十」 果ての向こう側通信 星槎渡河 TT (press) 無知 本の感想は、またのちのち書いていこうと思います。 来年にでも自分でも何かZINEでも書けたら…

読書の秋に読んだ本

秋と言いながら、急に暑くなる日があって困りますね。とはいえ大分涼しくなってきたので、たまに散歩に出かけて講演で本を読んだりしています。最近読んだ本の一部を簡単にご紹介。 中村一成『ウトロ ここで生き、ここで死ぬ』戦前から朝鮮人が多く在住して…

「漫长的季节」(漫長的季節)に出てくる中国語

最近、「漫长的季节」という中国ドラマを観ています。 www.youtube.com 回想シーンと現在の時間軸を行き来しながら、サスペンスっぽい仕立ての群像劇という内容です。スリリングな展開と伏線の散りばめ方が面白く、いま5話あたりまで見ました。 4~5話あ…

2023年9~10月に観た映画

すっかり映画鑑賞の記録ブログみたいになってきましたが、まあこういう時期があってもいいでしょう。 ①「福田村事件」 まずマイナスの評価から書いていくと、前半、このシーンいるか?というところが多いのが気になってしまいますね。村人たちの日常があって…

第16回関西クィア映画祭(4)

関西クィア映画祭の感想の続きです。最終日に観た映画を抜き出して書いていきます。まずは海外短編集から。 kansai-qff.org ハテナだらけの食卓ゲイをカミングアウトする食卓の会話劇。ゲイという存在を全く知らない両親。息子に寄り添うでもなく、かといっ…