セクシュアルマイノリティ
またDiffの記事を書きました。この一か月間はかなり精力的にWikipedia執筆に取り組んだので、その成果や、その時に考えたことをメモしています。特に、「プロジェクト:LGBT - Wikipedia」の整備について詳しく書いています。 diff.wikimedia.org 以下、Diff…
藤高和輝『バトラー入門』(筑摩書房、2024)を読んだ。ちなみに藤高さんの文章は、以前別のものを紹介したことがある。 藤高和輝「パスの現象学―トランスジェンダーと「眼差し」の問題」 - 達而録 私は、バトラーの『ジェンダー・トラブル』で論じられてい…
小松原織香『性暴力と修復的司法:対話の先にあるもの』(成文堂、2017)を読んだので、概要の紹介と自分の感想を書く。小松原さんの本は、他に『当事者は嘘をつく』(筑摩書房、2022)を読んだことがある。『性暴力と修復的司法』はアカデミックな書体で書…
山家悠平『生き延びるための女性史―遊郭に響く〈声〉をたどって』(青土社、2023)を読んだ。殺気迫る珠玉の論考の数々で、まさに「生き延びるため」に書かれた本、言い換えれば、言葉を綴らなければ社会に殺されると実感している人の叫びが、ひしひしと伝わ…
友人に勧められて、『少女革命ウテナ』を見始めた。いま13話まで観終えたところ。 ざっと観た印象は、色々な意味でまさに「古典」というべき作品で、さまざまな方向に解釈が開かれた作品だと感じた。台詞が少なく無駄がないし、伏線を多く張って「ああ、多分…
パレスチナ連帯のデモに行くと、「Queer Prism Flag」と呼ばれる以下の旗を見かけることがあるかもしれません。 この旗は、Hamed Sinnoというレバノン出身のアーティストが作成したものです(H Sinno | The queer prism flag as well as its vector files a…
色々な作品を批評していくシリーズ。今回は、たみふる『付き合ってあげてもいいかな』という、最近勧められて読んだ漫画について書いてみる。一部ネタバレを含むので、未読の方はお気をつけください。なお、私が批評記事を書く時の前提について、前の記事に…
ここ最近は、週に一回ぐらいのペースでWikipediaの執筆に携わることができています。最近執筆した記事と、その時に私が使った参考文献をメモしておきます。 何春蕤 - Wikipedia(翻訳+加筆) 何春蕤 著、大橋史恵, 張瑋容 訳、舘かおる, 平野恵子 編『「性/…
前回の記事で少し触れた「ある人 / ある人 - 岡田索雲 | webアクション」を、何度も読み返して繰り返し感銘を受けている。多くの人に知って欲しい漫画家だと思ったので、詳しく感想を書いていく。 最初にこの作品の前半を読んだ段階では、「突然誰かとぶつか…
今回は、吉野靫『誰かの理想を生きられはしない―とり残された者のためのトランスジェンダー史―』(青土社、2020)について書いていく*1。この本の感想はいつかきちんと書きたいと思っていて、メモを取り始めたのはだいぶ前なのだが、完成までだいぶ時間がか…
前回の続き。フェミマガジン『エトセトラ』の「特集:男性学」号(vol.10)を読んでの感想を記す。今回は、特に仲芦達矢「ノイジー・マスキュリティ」を取り上げる。 前回、『エトセトラ』の「特集:男性学」号の全体について説明した。前回示した通り、全体…
遅れ馳せながら、フェミマガジン『エトセトラ』の「特集:男性学」号(vol.10)を読んだ。同誌はこれまでに「特集:くぐりぬけて見つけた場所」(vol.7)を読んだことがあって、とても面白かったのを覚えている。 今号も、掲載されている論考はどれもとても…
前回に引き続き、『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みます。今回は、第4章「パレスチナと性/生の政治」(保井啓志)の内容をメモしておきます。イスラエルによる、いわゆる「ピンクウォッシング」…
パンセクシュアルを名乗ること:前提 パンセクシュアルを名乗ること:過去 パンセクシュアルを名乗ること:未来 パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集(今回) さて、昨日まで連続で更新してきた記事も、最初はいつもの記事のように、他人の文章を…
パンセクシュアルを名乗ること:前提 パンセクシュアルを名乗ること:過去 パンセクシュアルを名乗ること:未来(今回) パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集 昨日の続き。自分がパンセクシュアルと名乗ることについて、もう一つ書ききれていない…
パンセクシュアルを名乗ること:前提 パンセクシュアルを名乗ること:過去(今回) パンセクシュアルを名乗ること:未来 パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集 昨日の記事で、自分がパンセクシュアルであると名乗ることについて、その前提や意味を…
(今回)パンセクシュアルを名乗ること:前提 パンセクシュアルを名乗ること:過去 パンセクシュアルを名乗ること:未来 パンセクシュアルを名乗ること:文献・リンク集 今回からしばらくの間、自分のアイデンティティについて言語化するための記事を書いて…
今回は、藤高和輝「パスの現象学―トランスジェンダーと「眼差し」の問題」(『フェミニスト現象学』ナカニシヤ出版、2023)を取り上げます。「現象学」が冠される本を読むのは初めてでしたが、専門知識が無くても読めるように工夫されていて、私にも分かりや…
Diffの記事を書いたのでお知らせしておきます。 diff.wikimedia.org Diffとは、Wikimedia(Wikipediaを含む)に関連する記事を掲載するメディアです。 私はWikipediaの編集に継続的に取り組んでおり、Wikipedia関係の記事はDiffにアップしていこうと思います…
文フリで買った本の感想を書く記事の続きです。今回は、「四面楚歌系クィアメディア」を名乗る『MagazineF』vol.1, 2(竹輪書房)と、文乃(Ayano)さんの『From the Hell Magazine』vol.1, 2から。 なお、二つの文章は、全く同じ話をしているというわけでは…
文フリで買ってきた『砂時計』第四号を読んだので、感想を書いていきます。発行者は「北十 | 文芸同人 北十 | Hokkaido」さんです。 冒頭にあるのが『片袖の魚』の監督の東海林毅さんと、「北十」の音無早矢さんの対談記事です。『片袖の魚』は、以前関西ク…
関西クィア映画祭の感想の続きです。最終日に観た映画を抜き出して書いていきます。まずは海外短編集から。 kansai-qff.org ハテナだらけの食卓ゲイをカミングアウトする食卓の会話劇。ゲイという存在を全く知らない両親。息子に寄り添うでもなく、かといっ…
引き続き、関西クィア映画祭で観た映画「ノー・オーディナリー・マン」について書いていきます。今回を最終回ということにします。 今回は、映画の中ではそこまではっきりとは示されていないものの、関連して考えることのできるテーマについて取り上げます。…
前回に引き続き、関西クィア映画祭で観た映画「ノー・オーディナリー・マン」について書いていきます。今日は、作中で明示されているテーマについて、順を追って見ていくことにします。 前回、この映画の主要な構成パートの一つに「トランスジェンダー(十名…
今日から、関西クィア映画祭で観た映画「ノー・オーディナリー・マン」について紹介していきたいと思います。一応、アメリカ版Amazon primeでオンライン公開されているようですが、日本語の字幕はないと思います。 今回は導入ということで、映画の内容・構成…
先週まで大阪・京都で行われた「関西クィア映画祭」に行ってきました。大阪会場は一日だけ、京都会場は三日間の参加です。とにかく大満足の映画祭でしたので、今日から何回かの記事に分けて、感想を書き記していきます。 kansai-qff.org まず、観た映画をメ…