達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

瞿同祖『中国法律与中国社会』の紹介(3)

瞿同祖『中国法律与中国社会』(中華書局、1981)、第四節「親族復讐」の翻訳の続きです。 初回は↓ chutetsu.hateblo.jp 今回はp.80~になります。 前回まで、中国における「復讐」行為に関する規定の実例を整理してきました。今回は、そのまとめの段落です…

開設二周年&50000pv御礼&近況

いつもご支援ご愛読ありがとうございます! おかげさまで、丸二年、週一回の更新を欠かさず続けることができました。たまにいただけるスターやブックマーク、コメントは大変力になっております!! 合わせて、50000pvを達成しておりました。専門的すぎる記事…

瞿同祖『中国法律与中国社会』の紹介(2)

瞿同祖『中国法律与中国社会』(中華書局、1981)、第四節「親族復讐」の翻訳の続きです。p.77~になります。 今回は、中国における「復讐」行為について、その実例や、それに対する処罰を具体的に見ながら、整理するところです。 『周礼』では、復讐に関す…

瞿同祖『中国法律与中国社会』の紹介

ここ数日、瞿同祖『中国法律与中国社会』(中華書局、1981)を眺めています。先秦期から清代、民国にかけての、中国における法律・礼制の特徴と変遷を、膨大な実例を根拠にしながら明晰に整理したものです。 もともと、新田元規氏の「中国礼法の身分的性格に…

李弘喆「世本探源―『世本』受容史研究序説」

『史林』第101巻、第5号(2018年9月)掲載の李弘喆「世本探源―『世本』受容史研究序説」を読みましたので、簡単に内容をご紹介します。 『世本』とは、上古から春秋時代にかけての王や諸侯の系譜、その周辺情報を記した本で、古くはよく資料として用いられた…

多音字の読み分け「惡」―『経典釈文』から『新華字典』まで

日頃「経書」を読む者にとって、『経典釈文』における「多音字の読み分け」というのは、否が応にも意識させられる話です。 『釈文』とは、六朝時代、陳末隋初の頃に作られた、経書の文字に発音を附した本です。そして、意味によって発音が異なる漢字には、き…