達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

最近読んだ本

新年度がまもなく始まるということで、目まぐるしく忙しい日々を送っています。もともと論文の執筆、前回紹介した吉田寮関係の活動で時間が埋まっていたところに、もうすぐ授業や研究室業務も始まりますから、ブログを書く時間がなかなか取れません。 今回は…

京大吉田寮について

本ブログの中の人の一人は、縁があって、最近、京都大学の「吉田寮」の存続活動に携わっています。 そもそも「吉田寮って何?」という方は、吉田寮紹介パンフレットの電子版があるので、ちらっと読んでみてください。 www.pamphlet.yoshidaryo.org Twitterも…

崔靈恩の「楽記」理解

以前、『礼記』の楽記篇の句読について整理した際、崔靈恩という人の説を紹介しました。 chutetsu.hateblo.jp 残念ながら、崔靈恩が書いた本は、いまはそのままの形では伝わっていません。しかし、『礼記』の経文と鄭玄注について注釈を附した『礼記正義』と…

陳鴻森「北朝経学的二三問題」―論文読書会vol.13

※「論文読書会」については「我々の活動について」を参照。 陈鸿森「北朝经学的二三问题」(中央研究院历史语言研究所集刊 第六十六本第四分、1999) 【概要】 历代关于北朝经学的论述大抵依据《北史・儒林传序》,这是由于北朝学者的著作大多不传。这篇论文…

アンヌ・チャン『中国思想史』(2)―「幾」について

前回に引き続き、アンヌ・チャン『中国思想史』(志野好伸・中島隆博・廣瀬玲子訳、知泉書館、2010)の内容を紹介します。今回は、私の個人的な興味から、「幾」という概念について説明している部分を読んでみます。 以下、第11章「易」の「幾」節、p.275-27…