達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

古橋紀宏『魏晋時代における礼学の研究』の紹介(2)

前回の続きです。古橋紀宏『魏晋時代における礼学の研究』(p.9~)より。 まず、加賀説で鄭玄と王粛がともに「新」に位置付けられ、段階的な発展が想定されていたことに対して、以下のように反応します。 そこで注目されるのが、王粛の立場を説明する際にし…

古橋紀宏『魏晋時代における礼学の研究』の紹介(1)

今日は、古橋紀宏『魏晋時代における礼学の研究』をご紹介します。博士論文で、たまたま近くの図書館に入っており、読むことができました。 二回分の記事で、序章を簡単にまとめてお示しします(p.11~)。 本研究の主眼は、特に礼学に関する鄭玄説・王粛説…

「禘祫」の祭祀について(2)

今回は、前回に引き続いて、「禘」と「祫」がどのように区別されてきたのか、について整理します。前回同様、池田秀三「黄侃<禮學略説>詳注稿(一)」*1に依拠しています。 repository.kulib.kyoto-u.ac.jp 「禘」と「祫」が区別される場合、その相違点は、①…

「禘祫」の祭祀について(1)

最近、礼学上の大きな問題の一つである「禘祫」の祭祀について概要を整理する機会があったので、こちらに残しておきます。前回までは部屋の扉と窓とかいうかなり細かい話をしていましたが、「禘祫」は歴代の学者が必ず言及しているといってもよいぐらいに重…