西洋
前回に引き続き、工藤万里江『クィア神学の挑戦』を読んで、自分の研究に引き付けられるところがあるか考えていく。今回は、第四章「下品な神学――マルセラ・アルトハウス=リード」をまとめてみる。 アルトハウス=リードがいう「下品な神学」とは何か。その…
最近、工藤万里江『クィア神学の挑戦―クィア、フェミニズム、キリスト教』(新教出版社、2022)を読んでいて、自分の研究と絡めて考えたことがあるので、少しだけメモしておく。まず、第一章「クィア神学の歴史と課題」の第三節「クィア神学とフェミニスト神…
京都大学学術出版会からは、「プリミエ・コレクション」というシリーズが継続的に出版されています。このシリーズは、若手研究者の初の単著を出版することが多く、上質な研究書を多く世に送り出していることで知られています。本ブログで紹介したことがある…
ジュディス・バトラー『分かれ道 ―ユダヤ性とシオニズム批判―』(大橋洋一・岸まどか訳、青土社、2019)を少しずつ読み進めている。まだ半分も読み終えていないのだが、ひとまず「はじめに」の内容をもとに、簡単なメモを残しておく。 〇本書の主眼 本書の狙…
藤高和輝『バトラー入門』(筑摩書房、2024)を読んだ。ちなみに藤高さんの文章は、以前別のものを紹介したことがある。 藤高和輝「パスの現象学―トランスジェンダーと「眼差し」の問題」 - 達而録 私は、バトラーの『ジェンダー・トラブル』で論じられてい…
前回に引き続き、『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みます。今回は、第7章「ジェンタイル・シオニズムとパレスチナ解放神学」(役重善洋)の内容をメモしておきます。この章は、イスラエルによるパ…
予告していた通り、ベンヤミン著・鹿島徹訳『[新訳・評注]歴史の概念について』(未来社、2015)の内容を少しだけ紹介します。 まず、ベンヤミン『歴史の概念について』のテーゼⅥ(p.49-50)を一部引用します。 過ぎ去ったものを史的探究によってこれとは…
知人から推薦されて、ベンヤミン著・鹿島徹訳『[新訳・評注]歴史の概念について』(未来社、2015)を読んでいます。まだ途中ですが、深い感銘を受けております。折角なので、このブログでも簡単に紹介していきます。 この本は、ベンヤミンに初めて触れる私…
前回に引き続き、『治史緒論』を読んでいきます。中篇の四「史旨」を見ていきましょう。 「旨」とは、章先生がいうところの「史でありながら子の意があるもの」である。史は客観に基づくが、旨を言う時に主観が入ってきてしまうのは、史としての職分を失うも…
年が明けましたが、相変わらず劉咸炘を読んでいきます。今回からは、劉咸炘が史学について概論を述べている『治史緒論』を見ていくことにします。 『治史緒論』のうち、中篇「史旨」というところを読んでみたいのですが、今回はその前提として、本書の序文を…
最近、友人に薦められてバーナード・レジンスター著(岡村俊史・竹内 綱史・新名隆志訳)『生の肯定―ニーチェによるニヒリズムの克服』(法政大学出版局、2020)を読んでいました。まだ半分も読めていませんが、門外漢である私にも(ある程度)伝わるほどに…
前回に引き続き、喬志航「王国維と「哲学」」(『中国哲学研究』20、2004)に導かれながら、王国維「釈理」を読み進めていきます。 ここは、ショーペンハウアーの説に則って、カントの言う「理性」を批判しながら、「理」の狭義の概念を整理していくところで…
前回に引き続き、喬志航「王国維と「哲学」」(『中国哲学研究』20、2004)に導かれながら、王国維「釈理」を読み進めていきましょう。 其在西洋各國語中,則英語之Reason,與我國今日「理」字之義大略相同、而與法國語之Raison,其語源同出於拉丁語之Ratio…
以前、こんな記事を書きました。 chutetsu.hateblo.jp 喬志航「王国維と「哲学」」(『中国哲学研究』20、2004)を読んでいて、王国維「釈理」の冒頭で阮元「塔性説」の話が出てきていたことを思い出しました。「釈理」は、王国維がショーペンハウアーの影響…
8月15日、「カブール陥落」というニュースが世界を駆け巡りました。 私の手元にある杉山正明『ユーラシアの東西―中東・アフガニスタン・中国・ロシアそして日本』(日本経済新聞出版社、2010)のうち、氏の2009年の講演を記録した文章に、アフガニスタンにつ…
今日は、不朽の名著E.H.カー『歴史とは何か』(岩波新書、1962)を紹介します。タイトルの通り、「歴史」とは何か、歴史研究はどのように進められるか、歴史を学ぶことの意義はどこにあるのか、といったことが平易に説明されています。清水幾太郎氏の訳文が…
★「クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』」の記事一覧:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7) ようやく最終回(7)まできました。クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』(半沢孝麿…
★「クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』」の記事一覧:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7) 前回の続きです。クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』(半沢孝麿・加藤節編訳、岩波…
★「クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』」の記事一覧:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7) 前回の続きです。クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』(半沢孝麿・加藤節編訳、岩波…
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★「クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』」の記事一覧:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7) 本日は、クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』(半沢孝麿・加藤節編訳、岩波書店、199…