達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

栗林輝夫『荊冠の神学―被差別部落解放とキリスト教』(1)

今日は、前回紹介した、栗林輝夫『荊冠の神学―被差別部落解放とキリスト教』(新教出版社、1991)について、もう少し詳しく書いていくことにしましょう。 「荊冠の神学」という言葉は、本書で最初に提示される概念であり、また探究の対象となっているもので…

最近読んでいる本

タイトルが「最近読んだ本」ではなく「最近読んでいる本」なのは、少し時間が空いた時にゆっくり読んでいるだけで、きちんと読み通したわけではないからです。 どの本も心からおススメできる本には違いありませんが、読了できていないので、簡単に説明するだ…

劉咸炘『中書』認経論

劉咸炘『中書』の「認經論」のうち、中篇の「論教」を取り上げます。 「認經論」は、劉咸炘が経書をどのようにとらえているか整理して述べる篇で、このうち中篇は、経書と教化・教育の関係を説明しています。孔子の教えはどのようなものだったか…というとこ…

ブログ開設四周年を迎えました。

「達而録」を開設してから、丸四年が経過し、五年目に突入いたしました。 奇跡的にも、週一回の更新を落とすことなく、ここまで続けることができました。ひとえに、ブクマ・コメント、Twitterのリツイートやリプなどで反応をくださる読者のみなさまのお陰で…

劉咸炘『中書』三術篇(下)

前回の続きです。省略を加えながら、最後の二段を読むことにしましょう。このあたりから、「ああ、劉咸炘は確かに章学誠の読者だったのだな」と思わされる内容が出てきます。 章先生之書,至精者一言,曰:「為學莫大乎知類」。劉咸炘進以一言曰:「為學莫大…