達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

頼惟勤『説文入門』を読む(一)

『説文解字』並びに段玉裁『説文解字注』に関する、“高度に学術的な入門書”(語義矛盾にあらず)といえば、頼惟勤先生の監修にかかる『説文入門』(大修館書店、1983年)が有名です。参照→『説文入門』 | 学退筆談 本書の第三章「段注の実際」の第三節は「段…

銭大昕「與段若膺論尚書書」について

最近、訳あって銭大昕「與段若膺論尚書書」を読んでいます。これは銭大昕が段玉裁と『尚書』に関して議論を交わした書簡であるということで考証学史において重要であると同時に、内容自体もなかなか興味深い書簡です。 もとは、四部叢刊本『潜研堂文集』で読…

「達而録」活動記録

ここ1~2年の間、ネット上の中国学界隈で、色々と新しい企画が始動しています。私が直接見知った人が行っているものだけでも、このようなものがあります。 ・東洋史の院生botさん:「宮崎市定『科挙』を読む会」等の読書会。・中国史史料研究会さん:学会…

地元の儒者を尋ねて―「亀井南冥」篇・おまけ

中哲ブログということで、前回までの記事の中に出てきた「典拠のある言葉」を、少し振り返ってみましょう。第1回はこちら。第2回はこちら。 まず、修猷館の「修猷」という言葉。これは『尚書』 微子之命の一節を踏まえる言葉です。修猷館高校の公式サイトに…