達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「長嘯」とは?―中島敦『山月記』の漢詩の意味

今回は、齋藤希史『漢文スタイル』(羽鳥書店、2010)の第七章「花に嘯く」に導かれながら、「長嘯」という言葉と中島敦『山月記』の漢詩について考えてみます。 前回、「嘯」と「長嘯」の意味について、斎藤本と青木正兒「「嘯」の歴史と意義の変遷」(『中…

「嘯」について―齋藤希史『漢文スタイル』より

今回と次回は、齋藤希史『漢文スタイル』(羽鳥書店、2010)の第七章「花に嘯く」に導かれながら、「嘯」そして「長嘯」という言葉について考えてみます。以下は、斎藤氏の本のp.220~225の要約になっています。 まず、本章のタイトルになっている「花に嘯く…

杉山正明『遊牧民から見た世界史』

杉山正明『遊牧民から見た世界史』(日本経済新聞出版1997、のち日経ビジネス人文庫2003、増補版2011)広大な中央アジアの大地で活躍した「遊牧民」の生活とその興亡を描いた傑作です。そのうちから、「モンゴル残酷論の誤り」という節の文章をご紹介します…

『論語』の「川上の嘆」の二つの解釈

前回→ 井筒俊彦「儒教の形而上学におけるリアリティの時間的次元と非時間的次元」(3) - 達而録 これまで、井筒俊彦著(澤井義次監訳、金子奈央・古勝隆一・西村玲訳『東洋哲学の構造 : エラノス会議講演集』(慶應義塾大学出版会,、2019)の中から、第六…

井筒俊彦「儒教の形而上学におけるリアリティの時間的次元と非時間的次元」(3)

前回→井筒俊彦「儒教の形而上学におけるリアリティの時間的次元と非時間的次元」(2) - 達而録 井筒俊彦著(澤井義次監訳、金子奈央・古勝隆一・西村玲訳)『東洋哲学の構造 : エラノス会議講演集』(慶應義塾大学出版会,2019)の中から、第六章の「儒教の…