達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「禜祭」について(2)

「禜祭」について。前回の続きです。 段注の最後に「『周禮』注引・・・」とありました。ということは、『周禮』に関連する記載があるということです。実際、調べてみると、禜祭の記載は『周禮』の中に数ヶ所あります。 「経学とは礼学である」というのはよ…

「禜祭」について(1)

以前棚上げにしておいた、「禜祭」について整理してみました。こういうことを調べる時にはどのようにするのか、参考までにご覧ください(あくまで現時点での私の方法ですが)。全四回の記事で、『説文解字注』『周禮正義』『求古録禮説』などを扱いました。 …

溝口雄三『中国の公と私』

溝口雄三『中国の公と私』(研文出版、1995)を読みました。折角ですので、冒頭部分だけ紹介しておきます。 この本は、中国(特に宋代以降)における「公」と「私」の概念について、その源流から近代に至る展開を描いたものです。特に、日本における「おおや…

とある最近の本について

最近発売された山口謠司『唐代通行『尚書』の研究』(勉誠出版、2019)が大学の図書館に入っていました。 個人的に興味のあった、第二章・第五節の「『群書治要』所引『尚書』攷」のうち、舜典について調査した部分から、「p.122、p.123の六つの条だけ」をチ…

齋木哲郎『後漢の儒学と『春秋』』について(2)

前回紹介した鄭玄『發墨守』『鍼膏肓』『起廢疾』は現存しない佚書であり、様々な輯佚書が作られています。 仮に『増訂四庫簡明目録標注』によって挙げておくと、漢魏叢書本、藝海珠塵本、問經堂叢書本、范述祖本、孔廣森『通德遺書所見録』本、袁鈞『鄭氏佚…