達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

中国学と円城塔『文字渦』(下)

前回はこちら はじめに 『文字渦』について引き続き語ってみます。 少し内容に踏み込んで書くとは言ったものの、短編集でありながらそれぞれが緩やかに関連を持ち大きな世界を作っているこの作品自体の枠組みの話は、私には手に余る代物です。今後の人生で何…

中国学と円城塔『文字渦』(上)

中国思想をもっと身近に 伝えることの難しさ 中国学の面白さを、一般の方々にどう伝えるのか? ―言い換えれば、中国学の魅力を如何に発信するか― これは長きに渡って、多くの研究者が苦悩してきた問題ではないでしょうか。これはもちろん、そんなことを考え…

张升「陈名夏与龚鼎孳,阎尔梅’‘绝交’‘考」―論文読書会vol.6

※論文読書会については、「我々の活動について」を参照。 【論文タイトル】 张升「陈名夏与龚鼎孳,阎尔梅’‘绝交’‘考」(『顾诚先生纪年暨明清史研究文集』p157~167) 【要旨】 陳名夏、江蘇溧陽人、清初の貳臣。龔鼎孳、安徽合肥人、清初の貳臣。閻爾梅、…

池田秀三「馬融私論」―論文読書会vol.5

※論文読書会については「我々の活動について」を参照。 ※本論文はオンライン上で公開されています。 【論文タイトル】 池田秀三「馬融私論」(『東方學報』人文科学研究所、1980) 【要約】 馬融と鄭玄が師弟の関係にあったことはよく知られているが、実際に…