達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

廬江何氏鈔本『文史通義』について

最近、機会に恵まれて、章学誠『文史通義』を「廬江何氏鈔本」という本を用いて校勘しながら読んでいました。今回は、この鈔本の面白いところを紹介します。 本題に入る前に、前提知識を整理しておきましょう。『藏園訂補邵亭知見傳本書目』によれば、章学誠…

Wikipedia執筆録(3)

多忙につき、しばらくWikipediaの編集をできていませんでしたが、最近少しずつ再開しています。これを機に、これまでに自分が書いた記事をピックアップしながら振り返っておき、また加筆に向けてモチベーションを上げておきましょう。(以前取り上げたものは…

呉叡人『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』(2)

前回の続きです、今日は、呉叡人著(駒込武訳)『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』(みすず書房、2021)のうち、「比較史、地政学、そして日本において寂寞の内に台湾を研究するという営みについて」という文章を読んでいきます。 本章は、2011年の日本台…

呉叡人『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』(1)

知人に紹介されて、呉叡人著(駒込武訳)『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』(みすず書房、2021)を読んでいます。 呉叡人は、台湾で多くの社会運動に携わりながら、台湾を中心とした政治史、民族史の研究をしている学者です。私はまだ本書を読了していま…