達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ベンヤミン著・鹿島徹訳『[新訳・評注]歴史の概念について』(1)

知人から推薦されて、ベンヤミン著・鹿島徹訳『[新訳・評注]歴史の概念について』(未来社、2015)を読んでいます。まだ途中ですが、深い感銘を受けております。折角なので、このブログでも簡単に紹介していきます。 この本は、ベンヤミンに初めて触れる私…

劉咸炘の史学講義(3)

前回の記事、劉咸炘『治史緒論』中篇の四「史旨」の続きです。 まとめると、史に載せられたことは人事である。どうして人事の律を究めつくすことができようか。これを究めたいのなら、『易』こそ重要だ。道家は史に詳しく、道家の持論である循環の律は、本当…

劉咸炘の史学講義(2)

前回に引き続き、『治史緒論』を読んでいきます。中篇の四「史旨」を見ていきましょう。 「旨」とは、章先生がいうところの「史でありながら子の意があるもの」である。史は客観に基づくが、旨を言う時に主観が入ってきてしまうのは、史としての職分を失うも…

劉咸炘の史学講義(1)

年が明けましたが、相変わらず劉咸炘を読んでいきます。今回からは、劉咸炘が史学について概論を述べている『治史緒論』を見ていくことにします。 『治史緒論』のうち、中篇「史旨」というところを読んでみたいのですが、今回はその前提として、本書の序文を…

新しい一年を迎えました

2023年になりました。中の人のうちの一人は、まだ博士課程で研究を続けています。今年は論文を数本形にできたら、と考えているところです。 昨年の記事を眺めていましたが、章学誠・劉咸炘関係の記事がやたら多いですね。そのわりに、どれも内容が薄いのが残…