達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

劉咸炘『中書』三術篇(上)

前回紹介した劉咸炘が書き記した文章は、『推十書』という本にまとめられています。その冒頭に入っているのが『中書』という本で、その冒頭が「三述篇」です。 これも何かの縁ですから、少しだけ劉咸炘の言葉を読み進めてみましょう。訳は私の試訳ですが、直…

章学誠と劉咸炘

最近よく取り上げている章学誠について、まだまだ読んでいきましょう。 章学誠(1738~1801)は、生前にはその学問は今一つ理解されず(というよりそもそも読者がおらず)、後になってから読者を獲得し、一躍脚光を浴びた学者です。その経緯は、井上進「六経…

章学誠と王應麟

前回まで、王應麟『困学紀聞』について紹介してきました。清朝考証学の先駆け的著作とされる本著ですから、逆に、考証学的な風気に一言物申したい学者からは、よくやり玉に挙げられる本でもあります。というわけで、今回は、章学誠の王應麟評を観ていくこと…

王応麟『困学紀聞』について(2)

前回の続き。王応麟『困学紀聞』の版本について整理していきましょう。 ある漢籍の代表的な版本について知りたいときには、色々な調べ方がありますが、莫友芝撰、傅增湘訂補『藏園訂補邵亭知見傳本書目』を見るのは一つの方法です。とりあえず、下に抜粋して…