達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

Wikipedia執筆録(3)

 多忙につき、しばらくWikipediaの編集をできていませんでしたが、最近少しずつ再開しています。これを機に、これまでに自分が書いた記事をピックアップしながら振り返っておき、また加筆に向けてモチベーションを上げておきましょう。(以前取り上げたものは省略します)


春秋経伝集解

 杜預の執筆意図を背景から解き明かす必要があるのはもちろんですが、複雑な構成を取っている本書籍そのものの形も上手く伝える必要があります。

 「この書の体裁」の節は、画像を交えるなど工夫しながら書けたと思います。「特徴的な学説」の節はやや専門的になっており、もう少し分かりやすく書きたいですね。

史通

 加筆記事です。かなり整った記事になったと思います。参考文献がやや少ないので、これを補いたいです。「良質な記事」に選出されました。

 比べていただければ分かりますが、「成立」節を立て、その中で前史から解き明かすという本記事の流れは、上の「春秋経伝集解」を雛形にしています。

1    成立
1.1    前史
1.2    劉知幾の登場
1.3    著述の目的
1.4    『史通』に影響を与えた書籍

 この記事を書くに当たって、稲葉一郎 『中国史学史の研究』 を参考にしました。もちろん大いに利用させていただきましたが、「現代の歴史学に見られる手法を、(やや無理気味に)『史通』に見い出していく」という方向性が強く感じられ、若干の不満を覚えました。

中国の書店

 ほとんど井上進先生の研究書三種をもとに、一気に書きました。初期に書いたまま、あまり参考文献を増やせていません。とりあえず清代~民国の項を加筆できればいいのですが…。

中国の女性史

 最近、「秀逸な記事」に選出していただいたのですが、いかんせん巨大な項目であり疎漏がかなりあります。特に大きな問題は、小浜正子; 下倉渉; 佐々木愛 他編 『中国ジェンダー史研究入門』に頼りきりで、典拠が実質的に三次資料に置かれている点です。もう一つ遡って、それぞれ元の論文をもとに整理する方がよりよいと思います。

 また、魏晋南北朝の節が明らかに薄い点など、時代によって記述に差があるのも気になります。

 はやく修正したいのですが、まだ時間が取れていないです。

詩経
 

 書くべき情報は概ね書けたと思うのですが(出土資料など補うべき点はありますが)、分かりやすいのかどうかは、他の方の意見をお伺いしたいところです。

 一度、「査読依頼」というシステムで査読を依頼したことがあります→Wikipedia:査読依頼/詩経 20210926 - Wikipedia

 『詩経』の記事の章立てが固まれば、他の経書の記事を書く際にも流用できるので、なかなか重要です。

道教

 疲れ果ててこんなもんか…というところで終わりましたが、いかんせん厖大なテーマなのでまだ書くことはありそう。有識者求む。歴史の節は分離して「道教の歴史」に入れています。

Template

 「Template」という、記事の最下部に表示される、ガイドラインの役割を果たすガジェットがあるのですが、これもいくつか新設しました。 

 見ていただければ分かるのですが、どれもかなり便利な案内になっていると思います。こうした網羅的なTemplateを作っておけば、いまのWikipediaの不足部分と、次に執筆するべきところを一覧で確認できるので、Wikipediaの充実化にも貢献できます。

 

 ちなみに今取り組んでいるのは「説文解字」の記事です。ほか、特に加筆したいと考えているのは、論語経学といったページですね。

 時間が取れるときに、少しずつやっていきましょう。

(棋客)