達而録

中国学を志す学生達の備忘録。毎週火曜日更新。

北京・天津旅行⑮―智化寺

 第十五回。よ~やく最終回が近付いてまいりました。

 これまで紹介してきた建築物は、いずれも清代のものが主でした。しかし、智化寺は、明代建築がほぼ完存している数少ない場所になります。実は、旅行の初っ端に行った観光地がここだったので、行った時にはその有難さを今一つ実感できていないのでした…。

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 入口の智化門。

 智化寺は、明の英宗、正統9年(1444年)に宦官である王振によって作られた寺院です。その後、土木の変によって王振は死に、英宗は捕虜となります。

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 その後、時は流れて清代。乾隆帝の時、御史の沈廷芳は智化寺に王振の像が飾ってるのを見て、国を害した王振の像を飾るべきではないと上奏します。その意が反映されて、王振の像は壊され、同時に智化寺も荒れ果てることになったそうです。

 

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 ひっそりとした隠れ家的スポットという感じで、人はまばら。まったりした時間を過ごすことができます。

 

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 蔵殿の内部にある転輪蔵。小さな四角の一つ一つは引出しになっていて、中に経典が納められているそうです。写真では分かりにくいですが、頂点の部分には仏像がいくつかあり、天井にも装飾が施されています。非常に細かく意匠が凝らしてるのが分かり、興味深かったです。

 ちなみに、智化寺は伝統音楽の拠点としても知られているそうです。展示コーナーでは楽器がいろいろ展示されていて、実際の音楽を聴くこともできました。

 

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 智化寺の周辺は、胡同に囲まれています。すぐ大通りに行き着き、そこまで行くともう大都会という感じなのですが、この一帯だけは取り残されたように古い雰囲気が残っています。