先週、参院本会議にて、国立大学法人法の改正案が可決されました。大雑把な経緯や改正案の内容については、この改正案に対する反対署名を集めているサイトに詳しいです。→オンライン署名 · 大学の自治に死刑を宣告する国立大学法人法「改正」案の廃案を求めます ―「稼げる大学」への変質を求める大学政策の根本的転換を! · Change.org
私は先月末、国立大学法人法「改正」に反対する学生有志(https://linktr.ee/kokudaihoustudentsnetwork)による説明会に参加し、数多くの有志の教員や学生の発表を聞いてきました。本ブログの読者のみなさんにも情報を共有したいと思い、ざっとまとめておきます。
まず、大手メディアの記事をいくつか挙げておきます。
- 国立大学法人法改正案、なぜ現場は猛反対? Q&Aで解説 | 毎日新聞
- 大学自治を脅かし、学問の自由を奪いかねない「国立大学法人法改正案」の問題点と法案可決までの異常なスピード感 | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい
また、この改正案をめぐっては、さまざまな当事者団体によって反対の声明が出されています。どの声明も問題点を分かりやすく解説していますので、合わせて参照ください。
- 東京大学・東海国立大学機構(名古屋大学・岐阜大学)・京都大学・大阪大学の共同声明
→共同声明の記者会見を実施しました(2023.11.15)|“わたしたちは国立大学への「運営方針会議」の設置に反対し、国立大学法人法の改正案の廃案を求めます。” - 京都大学職員組合 - 全国大学高専教職員組合
→声明「国立大学法人法改正案は政府の過度の介入をもたらすもの」を発表 - 全国大学高専教職員組合ホームページ(全大教HP) - 京都大学吉田寮自治会
国立大学法人法の改正に抗議し、改正案の廃案を求める声明 | 京大吉田寮公式サイト
簡単に言えば、東京大学・東海国立大学機構(名古屋大学・岐阜大学)・京都大学・大阪大学に対して、委員の任命には文科大臣の承認が必要である「運営方針会議」が設置され、大学の大きな方針や予算・決算を決定する権限が与えられます。(すでに崩壊しかかっている)「大学自治」を、組織の面から壊していくような法案です。
また、この法案でもう一つ問題なのは、大学による債券の発行や土地の貸付を緩和することです。大学の土地を事業者に貸して、利用者による費用負担が必要な施設を作って、儲けを出すということがより増えていくでしょう。教職員・学生のための福利厚生施設は、これまでもすでに削られ続けてきましたが、今後はますます手薄になっていくかもしれません。
法案は成立してしまいましたが、再度の改正は当然可能です。今後も声を上げ続けることが大切です。
(棋客)