達而録

中国学を志す学生達の備忘録。毎週火曜日更新。

学術箚記

「禜祭」について(1)

以前棚上げにしておいた、「禜祭」について整理してみました。こういうことを調べる時にはどのようにするのか、参考までにご覧ください(あくまで現時点での私の方法ですが)。全四回の記事で、『説文解字注』『周禮正義』『求古録禮説』などを扱いました。 …

宋人之改竄《經典釋文》

久々に、専門的な内容で書いてみます。『尚書』の以下の一節について。 『尚書』益稷(阮元本・巻五・四葉裏) 予欲觀古人之象、日月星辰山龍華蟲、作會。宗彝藻火粉米黼黻、絺繡。 句点の区切り方は諸説あるようです。本題にこの内容はあまり関わらないので…

句読の難―『困学紀聞』と『尚書大伝』(上)

以前、「考証学における学説の批判と継承」と題して、『尚書』のある一条を題材に取り、考証学者たちの学説の変化を追ってみました(全五回)。この調査は、環境さえ整っていればそれほど難しいものではないのですが、なかなか興味深い結果が出てくることも…

盧文弨と疏・経典釈文の単行説(補遺)

前回の記事について、有志の方より、「『経典釈文』の単行については、清初の頃から知られていたのではないか」とコメントを頂きました。少し調べてみたところ、あくまで一例ですが、以下のような言及例がありました。 顧炎武『亭林文集』巻二 音學五書後序 …

盧文弨と疏・経典釈文の単行説

現在は経・注・疏が合刻された形で見ることの多い「十三経注疏」ですが、かつては「疏」は単行していたことがよく知られています。一般に「単疏本」と呼称される形態です。 では、清朝考証学者の間で、この「疏の単行」を最初に取り上げたのは誰だったのかと…

考証学における学説の批判と継承(5)

前回の続きです。問題となる疏文を再度掲げておきます。 『尚書』堯典(阮元本『尚書注疏』卷二 三葉上) (疏)以庸生賈馬之等、惟傳孔學經文三十三篇、故鄭與三家同以爲古文、而鄭承其後、所註皆同賈逵馬融之學、題曰古文尚書、篇與夏侯等同。而經字多異、…

考証学における学説の批判と継承(4)

前回の続きです。問題となる疏文を再度掲げておきます。 『尚書』堯典(阮元本『尚書注疏』卷二 三葉上) (疏)以庸生賈馬之等、惟傳孔學經文三十三篇、故鄭與三家同以爲古文、而鄭承其後、所註皆同賈逵馬融之學、題曰古文尚書、篇與夏侯等同。而經字多異、…

考証学における学説の批判と継承(3)

前回の続きです。問題となる疏文を再度掲げておきます。 『尚書』堯典(阮元本『尚書注疏』卷二 三葉上) (疏)以庸生賈馬之等、惟傳孔學經文三十三篇、故鄭與三家同以爲古文、而鄭承其後、所註皆同賈逵馬融之學、題曰古文尚書、篇與夏侯等同。而經字多異、…

考証学における学説の批判と継承(2)

第一回の続きです。問題となる疏文を再度掲げておきます。 『尚書』堯典(阮元本『尚書注疏』卷二 三葉上) (疏)以庸生賈馬之等、惟傳孔學經文三十三篇、故鄭與三家同以爲古文、而鄭承其後、所註皆同賈逵馬融之學、題曰古文尚書、篇與夏侯等同。而經字多異…

考証学における学説の批判と継承(1)

現在、大学の演習である考証学者の剳記を読んでいます。その予習で毎週色々と調べることになるのですが、特に乾嘉の学以降の考証学者となると、一つの小さな学説にも他の学者の説との継承関係(賛成・反対の両者を含む)が見られて非常に興味深いです。 その…