専門書
「ちゃんと感想を書きたい」と思いながらも積み残している本がたくさんある。本当は丁寧に細かく感想を書きたいのだが、そこにこだわってなかなか書けないよりは、ひとまず雑でも何か書いた方がいいかということで、それほど読み返さず、ざっと感想を書いて…
最近読んだ本のうち、学ぶところの多かった本について、雑に感想を書いておきます。また詳しく書き直すかもしれません。下を読むと批判が目立っていますが、どれも面白く読みました。おすすめです。 ◆小谷汪之『中島敦の朝鮮と南洋』(岩波書店、2019) 中島…
最近新発売された、トンツカタン森本の『ツッコミのお作法』という本を買った。森本さんは、私が初めてエンタメ業界にできた「推し」だと思ってて、当然の義務として購入した。本書はもともとウェブ上で連載されていた記事をまとめて、加筆修正したものであ…
最近、友人の山村一夏さんに勧めてもらったのをきっかけに、クィア・マルクス主義についての書籍を読んでいます。(以下、本書の和訳と本記事の修正において、山村さんの力をめちゃめちゃ大きく借りていることを最初に断っておきます。まことにありがとうご…
斎藤賢『『史記』はいかにして編まれたか:蘇秦・張儀・孟嘗君列伝の成立』(京都大学学術出版会、2025、プリミエ・コレクション)を、著者よりご恵贈いただきました。元となった博論も読んだことがあり、改めて書籍の形で手元に置いておくことができるよう…
先日、温泉旅行中に、久々に井筒俊彦『意識と本質』を再読した。せっかくなので、冒頭から内容を整理していきたい。とは言いつつ、筆者の関心に照らして大幅に節略する箇所はあるので注意されたい。 なお、全く異なる文脈だが、井筒の別の論考を以前ブログで…
先日出版された橋本秀美『孝経―儒教の歴史二千年の旅』(岩波書店、2025)を早速読んだので、その読書メモを書いておく(以下敬称略)。以下の過去記事も参照。 野間文史『春秋左傳正義譯注』と岩本憲司『春秋学用語集 補編』 - 達而録 洪誠『訓詁学講義』よ…
藤高和輝『バトラー入門』(筑摩書房、2024)を読んだ。ちなみに藤高さんの文章は、以前別のものを紹介したことがある。 藤高和輝「パスの現象学―トランスジェンダーと「眼差し」の問題」 - 達而録 私は、バトラーの『ジェンダー・トラブル』で論じられてい…
江原由美子「『差別の論理』とその批判―『差異』は『差別』の根拠ではない」(『増補 女性解放という思想』ちくま学芸文庫、2021、初出1985)を読んだ。本著は、そもそも「差別」とは何かということを論じる論文で、流れるような緻密な論理展開から、「差別…
小松原織香『性暴力と修復的司法:対話の先にあるもの』(成文堂、2017)を読んだので、概要の紹介と自分の感想を書く。小松原さんの本は、他に『当事者は嘘をつく』(筑摩書房、2022)を読んだことがある。『性暴力と修復的司法』はアカデミックな書体で書…
山家悠平『生き延びるための女性史―遊郭に響く〈声〉をたどって』(青土社、2023)を読んだ。殺気迫る珠玉の論考の数々で、まさに「生き延びるため」に書かれた本、言い換えれば、言葉を綴らなければ社会に殺されると実感している人の叫びが、ひしひしと伝わ…
陳佑真『三蘇蜀学の研究』(京都大学学術出版会、2024)を購入し、少しずつ読み進めています。著者の陳さんは私の先輩で、本当にたくさんのことを教えていただいた方です。あまりまとまっておらず、メモ書き程度にしかなりませんが、内容について印象に残っ…
最近、ジェームズ・C・スコット『ゾミア―― 脱国家の世界史』(みすず書房、2013)を少しずつ読んでいます。とても長い本で、まだ読み終えてはいないのですが、読みごたえがあって面白い本です。全体の枠組みと、過去の研究、そして筆者のフィールドワークが…
今回は、吉野靫『誰かの理想を生きられはしない―とり残された者のためのトランスジェンダー史―』(青土社、2020)について書いていく*1。この本の感想はいつかきちんと書きたいと思っていて、メモを取り始めたのはだいぶ前なのだが、完成までだいぶ時間がか…
『交差するパレスチナ: 新たな連帯のために』(在日本韓国YMCA編集、新教出版社、2023)を読みました。在日本韓国YMCAは、日本・韓国・在日朝鮮人を架橋する運動体であり、2006年からはパレスチナとの交流事業を継続してきました。 現在、イスラエルによるパ…
以前、『論語』の有名な一節「子在川上、曰、逝者如斯夫、不舍晝夜」(子川上に在り、曰く、逝く者は斯くの如きか、昼夜を舎かず)の解釈について、このブログでまとめたことがあります。 『論語』の「川上の嘆」の二つの解釈 - 達而録 要約すると、「川上の…
秋と言いながら、急に暑くなる日があって困りますね。とはいえ大分涼しくなってきたので、たまに散歩に出かけて講演で本を読んだりしています。最近読んだ本の一部を簡単にご紹介。 中村一成『ウトロ ここで生き、ここで死ぬ』戦前から朝鮮人が多く在住して…
ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル:フェミニズムとアイデンティティの攪乱』(竹村和子訳、青土社、2018、新装版)を改めて読みました。数回に亘って、メモ書きを残しておこうと思います。 今回は、議論の入り口ということで、本書で特に主眼に置…
岩波書店の「書物誕生―あたらしい古典入門」シリーズより、神塚淑子『『老子』―“道”への回帰』(岩波書店、2009)を読んでいます。今日は、第一部・第二章の「老子と仏教」より、『老子変化経』という本についての一段を読んでみます。 『老子変化経』は、敦…
知人から推薦されて、ベンヤミン著・鹿島徹訳『[新訳・評注]歴史の概念について』(未来社、2015)を読んでいます。まだ途中ですが、深い感銘を受けております。折角なので、このブログでも簡単に紹介していきます。 この本は、ベンヤミンに初めて触れる私…
先日、古勝隆一『中国注疏講義 経書の巻』(法蔵館、2022)を著者よりご恵贈いただきました。 「中国古典を自分の力で読んでみたくはありませんか」 注釈を利用して古典を読む。その手法を基礎と実践で学ぶための一冊です。 【基本篇】で、注釈の基本知識と…
今日は、前回紹介した、栗林輝夫『荊冠の神学―被差別部落解放とキリスト教』(新教出版社、1991)について、もう少し詳しく書いていくことにしましょう。 「荊冠の神学」という言葉は、本書で最初に提示される概念であり、また探究の対象となっているもので…
タイトルが「最近読んだ本」ではなく「最近読んでいる本」なのは、少し時間が空いた時にゆっくり読んでいるだけで、きちんと読み通したわけではないからです。 どの本も心からおススメできる本には違いありませんが、読了できていないので、簡単に説明するだ…
最近、洪誠(森賀一恵・橋本秀美訳)『訓詁学講義―中国古語の読み方 (中国古典文献学・基礎篇)』(アルヒーフ、2004)を読み返していました。 本書は、漢文の読み方をいわゆる「訓詁」から丁寧に解き明かした、日本語で読める数少ない本の一つです。何度読…
知人に紹介されて、呉叡人著(駒込武訳)『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』(みすず書房、2021)を読んでいます。 呉叡人は、台湾で多くの社会運動に携わりながら、台湾を中心とした政治史、民族史の研究をしている学者です。私はまだ本書を読了していま…
新年度がまもなく始まるということで、目まぐるしく忙しい日々を送っています。もともと論文の執筆、前回紹介した吉田寮関係の活動で時間が埋まっていたところに、もうすぐ授業や研究室業務も始まりますから、ブログを書く時間がなかなか取れません。 今回は…
アンヌ・チャン『中国思想史』(志野好伸・中島隆博・廣瀬玲子訳、知泉書館、2010)を読みました。中国哲学・中国思想を学んだことのない方でも非常に読みやすい本ですので、二回に分けて内容を少しご紹介しようと思います。 今回は、序論p.10「思想か哲学か…
最近、法蔵館より、古勝隆一先生の『中国中古の学術と社会』が上梓されました。 pub.hozokan.co.jp 3~8世紀、中国中古時期は治乱興亡の時代環境を背景に学術が展開した時代であった。儒仏道・目録学・注釈学・国家権力・地域性に着目して、中古時期の思想…
最近は何かと忙しく、あまり専門の記事を書けておりません。そこで今回は、私の専門とは異なる分野から、おすすめの本を紹介していきます。 どれも学部生、いや高校生からでも読める本ですが、読み応えがあり、その後の世界の見え方が変わるような体験ができ…
たびたび本ブログで紹介してきたように、筆者はWikipediaの執筆に力を入れています。(ここ最近は忙しく、あまり執筆できていませんが…) chutetsu.hateblo.jp Wikipediaの記事を執筆する上では、逐一信頼できる書籍の出典を附し、情報源を明示することが求…