達而録

中国学を志す学生達の備忘録。毎週火曜日更新。

翻訳書

クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』(1)

★「クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』」の記事一覧:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7) 本日は、クェンティン・スキナー『思想史とはなにか―意味とコンテクスト』(半沢孝麿・加藤節編訳、岩波書店、199…

漢文を始めて学ぶ人に向けて:「経書」とは?

中国において伝統的に重視されてきた古典のグループに、「経書」と呼ばれるものがあります。経書は、「聖人」と呼ばれる理想的な人格を持つ人によって編集されたとされる書籍群です。これらは儒教において聖典とされ、中国に限らず、儒教文化を取り入れた古…

野間文史『春秋左傳正義譯注』と岩本憲司『春秋学用語集 補編』

野間文史氏の『春秋左傳正義譯注』(第一冊~第六冊)は、『左傳正義』の初めての全訳本です。注疏の全訳というのは、その全体量と内容の難解さから、とにかく難事業と言えます。 例えば、吉川幸次郎氏らによって『尚書正義』全訳は成し遂げられましたが、継…

勝手気ままな訳書紹介―『荘子』

ここ一年ほど、演習で『荘子』を読んでいる関係で、『荘子』の訳本を色々と見比べる機会が多くありました。もちろん、基本的には『荘子集釋』などから自分なりに訳を作っているのですが、どうにもしっくりこない場合、先人の意見を眺めてみるのも楽しいもの…

『左伝』の訳書と概説書の紹介

とある方にリクエストを受けて、『春秋左氏伝』の訳書や概説書の手引きを作ってみることにしました。(この方の学識には及ぶべくもないのですが、何故私が…。)週一回更新を守りたいのですが常にネタ切れ気味ですので、何か良いネタがありましたら教えてくだ…

勝手気ままな「訳書」紹介―『孟子』

こちらも『論語』ほどではないですが、多種に渡っています。『論語』に比べると長い本なので、抄訳もちらほら見受けられます。 ①小林勝人訳、宇野精一訳 有名な話ですが、最も一般に流布している小林勝人訳(岩波文庫、1968)は、批判の多い著作です。吾妻重…

勝手気ままな「訳書」紹介―『論語』

日原利国氏が「碩学といわれるほどの大先生は、みな『論語』の訳注をされる、と聞かされ」*1たと述べる通り、『論語』の訳本は非常に多く存在します。一般向け・専門向けも入り混じっており、どうまとめるのが良いのか悩みどころ。全てを時代順に並べても、…

勝手気ままな「訳書」紹介―前置き|中国思想の翻訳書について

はじめに 中国思想を専門とする研究室には、よく「良い訳書を教えてほしい」という声が届きます。しかし著名な古典となると数々の学識の高い先生が訳されていますから、一概にどれが良いとは言い難いものです。それは単に訳の良し悪しではなく、元々の方針の…