達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

タイマン森本振り返り~2025年2月~

 タイマン森本って、観ている最中は感想を人と共有したくなるのだが、見終わってみると、内容をあまり覚えていないという不思議な現象が起きていると気が付いた。ふっと気持ちを軽くして風のように去っていくコンテンツだと思う。なので途中から上手く感想が書けなくなったけど、せっかく書いたので共有しておく。

十九人ゆッちゃんw

 ゆッちゃんwを初めてみたのだけど、一気に虜になった。十九人のネタも見たけどめっちゃ素晴らしかった(→「ツチノコ」- YouTube)。当人が面白いと思ったことをすぐに自然とやっていて、それが突拍子もないかと思えば、急に文脈の芯をとらえることもあって、本当に飽きない。見ているだけで多幸感に満たされる存在で、ずっと追いかけ続ける芸人になりそうな気がする。

 ちなみに、森本さんの言葉遣いへの繊細さを感じたところに、「平場っていうか……ネタ以外の部分」と、「平場」を「ネタ以外の部分」と言い換えるシーンがあった(楽屋回)。「平場」という言葉はお笑い用語で、こういう言葉をあえて多用することで「内輪感」を演出してコミュニティを囲っていく方向を志向する芸人も多い。というか、きちんと意識しない限り、世の中の大抵のコミュニケーションはそういう方向に向かっていくものだと思う(それがホモソーシャルというものだ)。

 ただ、森本さんのコミュニケーションは、できるだけそうならないような意識、つまり「誰も置き去りにしない」ことへの意識が人一倍強いと思う。できるだけたくさんの人を笑わせる「芸人」という職業でやっていくのなら、本当はこれは当然のことだと思う。森本さんのコラムでもそういう話があったので、かなり意識しながらやっているのだと思う。→目指すべきは誰も置き去りにしない「情報共有ツッコミ」/ツッコミのお作法② | ダ・ヴィンチWeb

3時のヒロイン福田

 福田さんがリラックスしてボケているのが伝わるいい回。森本がさりげなくボケに回るシーンがめっちゃ好きで(ネルソンズ和田まんじゅう回とか)、それが見れて良かった。

 楽屋トークでは、テレビの収録が、見知らぬ人と仲良い雰囲気のコンテンツを作り出すという特殊な場であることについての語り合いがあって、とても奥深い内容だった。

ネコニスズヤマゲン

 ネコニスズ館野さん回と同じく、戦友という趣きのある二人の関係性が楽しい。距離感を探るようなところから始まるタイマンもあるけど、こういう最初から以心伝心っぽい感じのする回も好きだ。ヤマゲンさん、なんだかんだでかなり館野さんのことを好いているのが伝わって、いいなあ、と思った。

シンクロニシティ

 よしおかさん回は、森本さんの情報に詳しくなれる内容でもある。単体のボケが一つ一つ出されていく形でありながら、一つ一つのボケが強いのでそのままコンテンツになっていて、森本さんのツッコミは添えるだけという感じで、安心して見られる回。西野さん回は、自然にやっているように見えて、眼鏡をモノマネのトリガーにする構造など、素のトークをしながら上手くネタを織り込める仕組みができているのがすごかった。

 シンクロニシティの二人とも、落ち着いた語りぶりの楽屋トークがとても聞きやすくてよかった。一つずつ丁寧に説明してくれる人なので、作業しながら聴くのにちょうどよい。西野さんがよしおかさんに振り回されて、慌ててバイトを始めたりしているのが、情景が浮かんでとても面白かった。 

(棋客)