達而録

ある中国古典研究者が忘れたくないことを書くブログ。毎週火曜日更新。

2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧

高橋和巳『邪宗門』(3)――戦場の論理

ブルーハーツの『月の爆撃機』は、街に爆弾を落としに向かうパイロットと、標的にされた街で逃げ惑う市民の視点を切り替えつつ、戦場の絶望を歌う名曲である(以前記事に書いたことがある:反戦歌として「リンダリンダ」を読む - 達而録)。 『月の爆撃機』…

高橋和巳『邪宗門』(2)――祈りの言葉

左派系のデモでよく用いられるスローガンに、「すべての人が自由になるまで、私たち誰も自由ではない」や「一人でも自由でない人がいるなら、私も自由ではない」、また「一人の人への加害は、全員への加害だ」といったものがある。たとえばパレスチナ連帯の…

高橋和巳『邪宗門』(1)――左派と宗教

最近、友達に勧められて高橋和巳『邪宗門』を読んだ。『邪宗門』は、1900年頃から1945年までに存在した「ひのもと救霊会」という架空の宗教教団が、始まってから終わるまでを群像劇風に描いた作品である。フィクションではあるが、戦前から戦後にかけての史…

日記(2025.7.21-2025.7.31)

2025.7.21 出張で京都に来た。暑い。暑すぎる。そして人が多すぎる。観光客を増やしても、必ずしも地元で生活している人の所得が上がるわけではないし、その地域の税収増につながるわけでもない。もちろん、土地に外から人が来ること自体は色々な意味で重要…